昨年11月、G20バリ・サミットで首脳会談を行った習近平主席と尹錫悦大統領(提供:President of South Korea Press Office/UPI/アフロ)

 中国と韓国の関係が険悪化している。

 ごく大ざっぱな構図を言えば、韓国は昨年5月、「親中朝・反米日」だった文在寅(ムン・ジェイン)政権から、「親米日・反中北」の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権にシフトした。これに対して、「かつての宗主国」中国が、大いに不満なのである。

2019年12月、中国を訪問した文在寅大統領(当時)との首脳会談に応じた習近平主席(写真:新華社/アフロ)

駐韓中国大使の発言に韓国民憤慨

 直接的には、4月19日に尹錫悦大統領が、訪米前のロイター通信とのインタビューで、こう述べたことがきっかけだった。

「(台湾海峡の緊張は中国が)力による現状変更を図っているために起きたもので、われわれは国際社会とともに、力による現状変更に断固反対していく」

 この発言に中国が、「台湾問題は中国の内政問題」として反発。以後、中韓両国の応酬がエスカレートしていった。

 6月8日には、中国の邢海明(けい・かいめい)駐韓大使が、韓国の野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表との面会時に、「爆弾発言」を行った。

「有人賭美国会贏、中国将敗北,賭中国会輸的人之後一定会後悔!」(アメリカが勝ち、中国が敗北するという方に賭ける人(=明らかに尹錫悦政権を指す)がいるが、中国が負けるという方に賭けた後、必ず後悔することになるだろう)

 この発言で、韓国側の反発はさらに激化。6月13日、ついに尹錫悦大統領が非公開国務会議で、厳しく中国を批判した。