トランプ氏が機密文書を隠匿していたとされるマール・ア・ラーゴの自宅(2022年8月10日撮影、写真:ロイター/アフロ)

タフガイ特別検察官は「米国版・鬼の平蔵」

 米司法省の「Hard Ass」*1こと、ジャック・スミス特別検察官が6月8日、2024年の大統領選に立候補しているドナルド・トランプ前大統領(76)を起訴した。

 連邦政府の機密文書を不当に持ち出したスパイ防止法違反の疑いだ。

 江戸時代の日本であれば、火付盗賊改方、鬼平(長谷川平蔵)のお出ましといったところだ。

*1=アメリカのスラングで、妥協を一切許さないタフガイのこと。スミス氏はマンハッタン地区連邦検事局で性犯罪や家庭内暴力を担当、2008年から2年間、オランダのハーグにある旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷・検察局(ICTY)に出向。帰国後は司法省公共健全化局長、司法次官を経て再びICTYに出向し、2023年まで民族浄化や集団レイプを行った軍将軍たちを徹底的に追い詰めた鬼検事だ。

 これを受けて、トランプ氏は6月13日、機密文書を違法保管していた邸宅「マール・ア・ラーゴ」のある南フロリダ地区の連邦地裁に召喚され、事実上逮捕される。

(前回同様、手錠はかけられず、監視付きで帰宅が許されることになりそうだ)

 フロリダ州は共和党支配の「レッドステート」。当日は同州の共和党支持者を中心にトランプ・シンパが裁判所にデモを仕掛けることが予想され、治安当局は厳重警戒態勢を敷く。

 米国で大統領経験者が2度も起訴、逮捕されるのは、史上初めてだ。

 起訴、逮捕された前例はトランプ氏一人。ポルノ女優との不倫もみ消し工作に絡む選挙法違反で、ニューヨーク州検察当局が3月、起訴、逮捕している。この案件はニューヨーク州地裁で目下審理中だ。

「政治献金寄付プリーズ」SNSで悲愴な叫び

 起訴の第1報を流したのは3月の時と同じくトランプ氏自身である(ご本人は起訴がメディアに速報されるのを忌み嫌っているようだ)。

 米メディアはトランプ氏がSNS「トゥル―・ソーシャル」で流した情報に基づいて一斉に報じた。

 トランプ氏は、6月8日、こうSNSに書いた。

「どうか、穏やかに私に寄り添って政治資金を寄付してください。そしてこの国が過激な左翼の手には絶対に落ちないのだということを立証してほしい」

「皆さん方の支援が(私を救う)1500%のインパクトを与えてくれるはずだ。私たちは今、自分たちの目の前で私たちの共和国が死ぬ瞬間を見ている」

「バイデン(大統領)が指名した特別検察官が新たな魔女狩りで、私が米国大統領(当時)として解禁する権限を持っていた機密文書に関する嫌疑で起訴したのだ」