両親が受診を勧めるも「俺は正常だ」

 事件から1週間後の報道によると、青木容疑者は殺害した2人の女性とは「面識はない」と供述しているとされる。それが、事件当日に「『ぼっち』と言われたように聞こえ、恨みを爆発させた」と話しているという。これを母親は県警に「息子の思い込みだと思う」と説明していると伝えている。

 そうだとすると、これは「思い込み」というより「幻聴」「妄想」に近いはずだ。

 その兆候ならあった。決定的なのは、地元紙『信濃毎日新聞』が事件の4日後に、両親の証言として伝えている記事の内容だ。

 東京・目黒のアパートで1人暮らしをはじめたあとのことだ。家族が青木容疑者の携帯電話にかけても応答がない。心配した両親が急遽、車で上京したところ、顔面蒼白で目も虚ろな青木容疑者が姿を現す。そこでアパートに入ろうとした両親に、青木容疑者はこう言ったそうだ。

「ここは盗聴されているから気を付けて」

 その盗聴を恐れて携帯電話の電源も切っていたばかりか、こうも言ったという。

「部屋の隅に監視カメラがある」

 両親にはカメラがあるようには見えなかった。この時に母親が耳にした言葉が、「大学でみんなに『ぼっち』とばかにされている」――だった。

 両親は青木容疑者を実家に連れて帰った。両親は病院の受診を勧めたが、青木容疑者は「俺は正常だ」と拒否したという。