高齢層が持つ失敗の経験をどう生かすか

 一人当たりの経済活動を活性化させていくためには、15~64歳の生産年齢人口がより活発にリスクをとる経済にしなくてはいけない。

 2050年までのイノベーションは、2023年時点で想像できるものとは結果的にかなり違うはずだ。若い世代の試行と失敗を通じてしか、イノベーションは実現しない。

 失敗を許容し、再挑戦を可能とする仕組みを整備することがイノベーションを促す上で必須であり、そういう社会に意図的に変えなければならない。

 一方、65歳以上の高齢人口のウェル・ビーイングと社会貢献なしには、社会は安定しない。若い時の試行と失敗の経験を持つ高齢層でなければできない社会貢献の機会を拡げ、その知恵を広く社会で共有できる仕組みが重要だろう。

 上述のように、社会保障制度が持続可能であれば、高齢層の所得の不確実性はより小さくなる。その下で、最後まで元気に、そして最後まで社会から必要とされて生きることができるような制度の設計を加速させるべきだ。