2. 太陽フレア対策

 オーロラはカナダや北欧などの高緯度地方で普通に見られる現象である。

 日本ではめったに見ることができないので、オーロラはあまり馴染みのないものである。

 そのためオーロラを生み出す太陽フレアの脅威についても馴染みがない。ゆえに、欧米に比べると太陽フレアに対する対策が全く遅れている。

 以下の対策は、米国の資料やウエブサイトに公開されている専門家の研究資料を筆者の独断で取りまとめたものである。

(1)重要電子機器及び施設の保護対策:電磁波シールド

 太陽フレアは、自然による電磁パルス(EMP:electro magnetic pulse)攻撃と考えることもできる。

 原理としては核爆発などによるEMP攻撃と同じである。

 すなわち、大規模な太陽フレアから重要電子機器などを保護する方策は、EMP攻撃から重要電子機器等を保護する方策と同じである。

 以下は、2016年12月22日に米国土保全省(DHS)が公表した『機器と施設のための電磁パルス(EMP)保護ガイドライン(EMP Protection and Restoration Guidelines for Equipment and Facilities)』の一部である。

 同ガイドラインの詳細は拙稿「北朝鮮による電磁パルス攻撃から身を守る方法 地道な対策を重ねていけばそれほど難しくない保護対策(2017.10.24)、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51391」を参照されたい。

 同保護対策はレベル1からレベル4に区分されている。

①保護レベル1(低コスト、ベストプラクティス)

 EMPの影響を低減するために、手順および低コストのベストプラクティスを使用する。

 予備および緊急用機器の電気回線およびデータ回線のプラグを抜く。プラグを抜くことができない機器および業務支援のためにすぐに必要とされない機器についてはスイッチをオフにする。

 サージから重要回路を保護するためにサージ防止装置(SPD)を設置する。SPDには、防火安全タイプを使用する。

 予備電子機器をアルミホイルで包むか、ファラデーケージ(導体でできた器やかご)に収容する。

 1週間分のオンサイト燃料を保管するとともに配電網に接続していない予備電源を保管する。

②保護レベル2(数時間の業務の中断が許容できる場合)

 レベル1に加えて、電源コード、アンテナケーブルおよびデータケーブルにEMP規格のサージ防止装置(SPD)を設置する。オンライン二重転換無停電装置(UPS)を使用する。

 また、EMP規格の予備電源を保管する。光ファイバーケーブル(金属なし)を使用する。長距離通信回線を必要とするならば、EMP規格のHFラジオまたは電子メールを使用する。

③保護レベル3(数分の業務の中断が許容できる場合のみ)

 レベル2に加えて、国際電気標準会議が制定する国際規格を使用する。

 重要なコンピューター、データセンター、電話スイッチ、産業用制御装置、変電所制御装置および他の電子機器を防護するために、EMPシールドラック、同ルーム、または同施設を使用する。

 シールド地域外の機器を防護するためにEMP規格のサージ防止装置(SPD)を用いる。

 施設では、EMPに対して安全な片開きドアの通路を用いることができる。30日分のオンサイト燃料と予備電源を保管する。

 各組織が業務支援のために長距離の通信回線を必要とする場合、EMP規格のHFラジオおよび衛星の音声またはデータネットを使用する。

④防護レベル4(数秒間の業務の中断が許容できる場合のみ)

 重要な機器を保護するために、EMPまたは無線周波数兵器(radio frequency weapon:RFW)規格のシールドルーム、ラックおよび建物を使用する。

 シールド地域の外側の機器を保護するために、EMP規格のサージ防止装置(SPD)を用いる。

 施設には、EMP規格の両開きドアの通路を使用する。30日分以上の不可欠の貯蔵品と重要システムのためにEMP規格の予備電源(オンサイト燃料を含む)を保管する。

 通信手段として、EMP規格でない商用のインターネット、電話、衛星または通信ネットに依存してはいけない。