率直に言って、筆者も白井審判員の行為は「あり得ない」と考えている。

 長らくプロ野球や多くのスポーツの世界に取材者側として携わってきたが、選手から仕掛けられたわけでもないのに、審判自らケンカを吹っかけるかのように凄みながら相手に向かって行くシーンなんて一度も見たことがなかった。まるでプロレスのリングで相手を挑発するレスラーのパフォーマンスを見ているかのようでもあった。

 それだけに近年はフェアプレーの徹底が唱えられ、浸透してきたはずの日本プロ野球界で発生した今回の一連の問題には少なからずショックも覚えている。本来ならば審判はフェアプレーを選手たちに厳守させ、徹底させる立場の責任者だからだ。

「若手へ指導」のつもりかも知れないが「威圧的態度」は論外

 申し訳ないが、白井審判員を擁護することはできない。くだんの場面でいくら佐々木が判定に不満そうな態度を見せたと判断したとしても、衆人環視の場で明らかに頭に血が上った様子で目を吊り上げ、相手を威嚇するなど審判として言語道断である。

 佐々木へ態度を注意、あるいは指導する意図があって及んだ行為だったのであれば、あのようなブチ切れぶりを見せる必要は1ミリもない。

 さらに言えば、あの試合で佐々木が垣間見せたとされる「不服そうな態度」は他の投手も時折見せるような“かわいいレベル”のものだ。具体名は挙げないが、判定に対しもっと露骨に不満げな表情や苦笑いを浮かべたり、驚いたようなアクションを見せたりする投手、もしくは打者を今までに幾度となく目にしてきた。