新疆ウイグル自治区カシュガルのオールドタウンにあった壁画とその上部に設置された監視カメラ(著者撮影)

「中国に言論統制やネット検閲があること」は日本でもよく知られている。だが必ずしも国家組織が一元的に全てを監視してコントロールしている訳ではない。人々は自己規制を行いながら、ある程度の自由を持っている。中国各地を旅して中国の魅力を伝える活動をしている著者が、中国における言論統制の実態を紹介する。(JBpress)

 中国の言論統制の厳しさを一括りに断定することは間違っている。なぜなら、中国の言論統制とは、国家組織が一元的に全てを監視してコントロールしている訳ではないからだ。

 少なくとも前捌きとしては、ネット企業などがそれぞれ独自の基準に基づき、コンテンツを規制する程度や内容、タイミング、方法などを決めていると思われる。つまり、中国に言論統制があると言っても、一部の明確な案件は除きそのレッドラインは非常に曖昧だ。中国のネット企業などは「どこまでなら問題にならないのか」ということを意識して自己検閲(self-censorship)をしているのだと思われる。

 中国では、一般人が動画などの投稿を行うときに検閲が行われることを、以下で紹介した。
実録・中国ネット検閲、投稿動画はこのような修正を余儀なくされた
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69637

 この記事では動画サイトbilibiliに筆者が動画を投稿したところ、「不適切なコンテンツ」を含むと判断されていろいろと修正した経緯をお伝えしている。ところが同じ動画が、中国国営メディア系のCGTN(中国国際電視台)、有力なSNSの一つWeibo、著者の母校である北京大学などではオリジナルのままで掲載されていた。中国共産党の機関紙である人民日報でさえ、その動画を見て著者に取材に来ていた。

 その一方、Weiboでは武漢の動画はそのまま投稿できたものの、コロナ禍の広東省広州市の状況を伝えた著者の動画(https://www.youtube.com/watch?v=by5Vc6YYBi0)は公開後に削除された。動画の投稿時は特に審査があるように見えず、また、しばらくの間は問題なく公開されていたにもかかわらずである。削除理由は全く不明だ。

Weiboで公開していた広州市の動画はある日突然削除されていた