ロシアが化学兵器を使う可能性が高まっている

 ロシアが化学兵器を使う可能性が出てきた。

 化学兵器というのは、毒とは違う、人を殺傷するために開発された悪魔の兵器だ。

 毒は体に付いても水で流せばほとんど流れ落ちてしまう。しかし、化学兵器は、人の皮膚から体内に浸透して殺傷してしまう残酷なものなのだ。

 だから、化学兵器禁止条約で使用が禁止されており、世界の192か国が締結している。

 米国ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は3月10日の記者会見で、ロシアがウクライナへの侵攻で化学・生物兵器を使用する可能性に「注意しなければいけない」との見解を示した。

 米国と英国は、ウクライナで化学・生物兵器の研究・開発が進められていると主張するロシアが、こうした兵器の使用に踏みきることを警戒している。

1.ロシアに化学兵器使用の前科

 ロシアは化学兵器禁止条約を締結している。だが、化学剤を4万~5万トン保有しているという情報もある。

 また、化学兵器を何度も使用した前科がある。

 米政府は以前、ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナバリヌイ氏が毒を盛られた2020年の事件や、セルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリア氏が英国で襲撃された2018年の事件で、ロシア政府が化学兵器を使用したことを確認していた。

 またシリア内戦に関しても、アサド大統領が自国民に対して化学兵器を数十回使用したと指摘している。

 化学兵器を個人ではなく大勢に使用する場合、使う犯人(国)は、「誰が使ったのか」を隠そうとするはずだ。また、いくつかの欺偏行動と同時に使用する可能性もある。

 ロシアは、過去の事例と同じように実施する可能性があることを知っておくべきだ。