厚労相の方針に沿って準備を開始した各自治体は責められない。多くの自治体が2月、3月ごろから本格的に打ち始めよう――という構えを取ったのは仕方がない。早期接種の機運や動きを尊重せず、「8カ月」にこだわった政府にこそ責任がある。スピード感のある3回目接種は、ワクチン在庫面からは十分可能だった。菅政権時に官邸中枢にいた元高官は1月7日午後、「モデルナだけでも2000万回ほど国内にある。うまく回っていない」と絶句した。

全く存在感のないワクチン担当相

 岸田政権をさんざん甘やかしてきた大マスコミも、ようやく批判を始めた。後藤厚労相と同様、極めて不適任かつ無能に見えるのが堀内詔子ワクチン担当相だ。その無能ぶりは昨年12月16日の参院予算委員会ですでに明確となっている。

堀内詔子ワクチン担当相(写真:つのだよしお/アフロ)

 堀内氏は1月以降のワクチン供給量や接種スケジュールなど基本的な事項を野党議員から質問されたが、「自治体と緊密に連携して取り組んでいく」などと答弁するのが精いっぱいだったからだ。まともな答弁がほとんどできておらず、後藤厚労相や事務方の官僚が堀内氏に代わって答弁する場面もあった。

*(堀内ワクチン担当相の答弁は「参議院インターネット審議中継」<https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php>でも見ることができる。12月16日の参院予算委員会に如実に表れているが、立憲民主党の木戸口英司氏の質問に対する堀内氏の答弁は適性を欠いている)

 堀内氏は岸田派で当選3回。いわゆる抜擢人事だが、岸田首相の「身内ねじ込み人事」であると言われても仕方ないだろう。危機に対処する覚悟も能力もない人物にワクチン担当相が務まるとは思えない。