アフガニスタンからの邦人救出もコロナ禍への対策も「国家の非常時」を想定しない憲法体制の欠陥の露呈である

 断腸の思いでキーを叩きながら文字をひねり出している。各種報道によると、混乱のアフガニスタンからの移送対象は国際機関で働く日本人、大使館や国際協力機構(JICA)の現地スタッフとその家族などで約500人とみられた。

 しかし、待機した自衛隊機が1人の邦人を乗せてカブール空港を飛び立ったというテロップが8月26日夜10時頃、パラリンピックを観戦していたテレビ画面に流れた。

 その約1時間後にいまイスラマバード(パキスタン)の空港に自衛隊機が降り立ったとのテロップが流れた。

 移送は1人?

 目を疑った。本来は「1人を移送」したではなく、「対象者のほとんどを移送できなかった」というべきではないだろうかと。

 日本人の移送もさることながら、日本大使館などで勤務し協力したアフガニスタン人やその家族がタリバン等の犠牲になることが許されていいのか。

 アフガニスタンでは米軍の撤収を機に、イスラム原理主義勢力のタリバンが国土を制圧する動きが強まっていた。

 一方で、タリバンと競合関係にあるイスラム教スンニ派過激組織IS(イスラム国)の動きも活発化し、自衛隊機がカブール空港に待機しているその時、空港近傍で爆発事件も起き、多くの米兵や市民の死者も出て、目的を果たせなかった。

外国に後れを取った移送作戦

 自衛隊は移送を命じられればその行動に移るが、移送するか否かなどのアクションをとるのは、あくまでも外務省と国家安全保障局の情報に基づく政府(国家安全保障会議)の決定に基づく。

 8月末で米軍が撤収することはジョー・バイデン大統領の声明で分かっていた。

 米国はすでに数万人のアフガニスタン人協力者などを米国などに移送したと発表しているし、英独仏も自国民はもちろん、アフガニスタンでの現地協力者ら数千人から1万人超をそれぞれ移送したとしている。

 そして筆者が衝撃を受けた一つが韓国の発表である。