2つの「驚く力」こそ幸せのヒント

 できなかったことができるようになった。知らなかったことが「知る」に変わった。その瞬間の驚きこそ、学ぶ意欲の源泉となる。驚くことを楽しんでいれば、学ぶ意欲は尽きせぬ泉のように湧く。自然の理に気づいて驚く、という学びの基本に戻れば、学ぶことはいくつになっても楽しい。

 私のご近所の農家の方は、「わし、まだコメを50回ほどしか育ててないねん。毎年違う。新しい発見ばかりやわ」と言い、常に学んでおられた。ああ、こんな風に年を取りたい。私が尊敬するお一人だ。

 幸せになる力。それは、「自然の神秘、不思議さに目を瞠(みは)り、驚く感性(センス・オブ・ワンダー)」、「他人に驚き、興味関心を持つこと」、の2つなのかもしれない。

「驚く感性」をもって学び続ければ、能力は生涯伸び続ける。伸びた分だけ、誰かを助ける力となる。「他人に驚く姿勢」があれば、誰かと支え合い、助け合う関係を築ける。

 能力さえあれば世の中を渡っていける。社会的に成功できる。という能力主義の枠組みをちょっとずらし、驚いては学ぶことを楽しみ、他人と驚き合うことを楽しみ始めたら、この世はずっと面白いものになる気がする。