言葉を選ばず言えば、ECには「有象無象が集まっている」。いわゆる“パチモン”の出品も多い。「それゆえ、真面目に作った商品が検索下位に押しやられる例も後を絶ちません。良質な日本製品の価値が不当に下げられていることがあるのです」。

 岡田氏いわく、偽物の蔓延による海外での機会損失は日本メーカーにとって深刻な問題だという。例えば勝手にコピーされた商品が現地の法に違反した状態で販売され続けていたため、いざ日本メーカーが本格的に売ろうとしたら現地では販売できない状態になっていた、というケースもあるらしい。

「それにもかかわらず、大手の担当者に会っても、危機感がないことが多いんです。ブランド価値が毀損され、まがいものに市場が荒らされていても『よくわからない』で終わってしまうんですね」

 メーカー内にはそうした問題に対処できる人員がいるケースは少ない。だが、岡田社長はそうした状況を一刻も早く改善すべきだと訴える。

まずいのはAmazonを敵視しているような企業

 最後に岡田社長は日本メーカーに向けて次のように提言をする。

「これから、EC対策を適正化させたメーカーとそうでないメーカーの差がはっきり分かれていきます。まずいのは、Amazonを敵視しているような企業です。コロナ禍によるECへのシフトで、もはや見て見ぬふりはできなくなりました」

「世界的な視点で見ると、日本企業はプラットフォーマーとしてのパイはとれていません。しかし物作りに関しては現在も非常に評価が高い。しかし、せっかく良い商品を作ってもEC販売が上手な企業にパイを奪われているのです。モノづくりの力は抜群なのだから、ECをうまく運用できれば爆発的に収益が伸びる企業は多いはず。ぜひそこに気づいていただきたいと思います」

 現在、コンパスポイントには海外メーカーから「日本に進出したい」という依頼も来始めているという。「EC対策の適正化」には国際的な需要があるのだ。さらに言えば、国境に阻まれていた日本市場は、今後、海外の企業の草刈り場になる可能性すらある。

「ブランディングし直す、工場を作り直す、といったことに大金を投じなくても、デジタルマーケティングに強い人材が1人いれば、ECでの売上は伸ばせます。そこで私たちは、企業内でいえばEC事業部とマーケティング部にあたる仕事を代行しているのです」

 東証一部上場企業から5人ほどの小規模事業者まで、現在までにサポートした企業は500社以上、最近はクライアントの要望に応え、楽天やYahoo!ショッピング等のコンサルも依頼されているという。

 みなさんの会社の商材はどんな状態だろうか。