第三子出産で学生ローンは全額免除

〇結婚奨励金

 2015年から、新婚カップルに対する税額控除を導入した。この措置は若いカップルの結婚を奨励するためのもので、新婚カップルは、少なくともどちらか一方が初婚であることを条件に、結婚後2年間、毎月15ユーロの税額控除を受けられる。2018年には、約8万3000人が、この制度を受けている。さらに妻が妊娠すると、妊娠91日目から給付金が出る。

 また、2018年7月からは、無利子ローン制度を始めた。妻が18歳から40歳までの夫婦は、3万ユーロの無利子ローンを受けられる。このローンの月々の分割返済額は150ユーロ以下で、20年以内に返済。ただし、最初の5年間に少なくとも1人の子供が生まれた場合、無利子のままで返済が3年間猶予される。2人目の子供が生まれると、さらに3年間返済が猶予され、かつ元本の3割が帳消しにされる。そして3人目の子供が誕生すると、残りの借金は全額返済不要となる。

〇マイホーム補助金

 2016年1月から始めた制度(CSOK)で、3人以上の子供がいる家庭が新築の不動産を購入する場合、3万ユーロを現金支給する。さらに4万5000ユーロ分の住宅ローンの金利を補助する。2020年7月までで、14万8105世帯が受けている。

 また、中古物件を買う場合は、子供4人以上なら7500ユーロ、3人なら6000ユーロ、2人なら4000ユーロ、1人なら1600ユーロを、最大で補助する。

 2018年からは、住宅ローンの減額制度も始めた。3人以上の子供を持つ家庭は、子供1人あたり3000ユーロの住宅ローン減額。2019年7月からは、2人以上の子供を持つ家庭にも同額の制度が拡大され、3人以上は計1万2000ユーロの減額となった。

〇学生ローン返済減免

 大卒以上の高学歴女性の出産を促す政策。2018年1月から、大学の学費にあてる学生ローンを借りていた女性が第一子を妊娠した場合、妊娠3カ月目から3年間、返済を停止できる。第二子を妊娠した場合も同様。第二子を出産後は、学生ローン残額の5割が免除される。さらに、第三子出産後は残額全額が免除される。2020年7月までに、4810人が減免措置を受けている。

 また、2018年1月からは、大卒以上の女性が出産した場合、2年間の保育料を給付している。2019年だけで、10万7580人がこの制度を受けた。