スペイン風邪に罹った兵士で溢れかえるアメリカのカンザス州の陸軍基地(Wikipediaより)

 第一次世界大戦のさなかの1918年、世界中を強烈な疫病が席巻しました。いわゆる「スペイン風邪」です。

 スペイン風邪はインフルエンザの一種なのですが、1918年に初めて感染が確認され、それから約2年間のうちに、世界で5億人が感染したとされています。当時の世界の人口は約20~30億人と推計されているので(15億人という説もあります)、世界の約4分の1から6分の1の人々が感染したことになります。そしてスペイン風邪が原因で亡くなった方は、2000万~5000万人にのぼったとされます。

 まさに史上最悪のパンデミックでした。

 その伝染スピードは、前回この連載で紹介した黒死病(ペスト)よりもずっと速く(ただし、新型コロナウイルスと比較するとはるかに遅いですが)、疫病の伝播とグローバリゼーションの間に密接な関係があったことがわかります。

 当時、スペイン風邪に効く特効薬はありませんでした。そのため感染防止が最大の対策となり、人々はマスクをし、学校、劇場、企業までもが閉鎖されることになりました。

 その対策法は現在とほとんど変わりません。感染力が強いウイルスに対抗するためには、それ以外の対応策がないのかもしれません。