今年3月19日、東京ドームで行われたMLB開幕戦プレシーズンゲームの前に、マリナーズの菊池雄星に声をかける原辰徳監督(写真:AP/アフロ)

 何とか踏ん張りながら好調モードを作り出しているのは、やはり原辰徳監督の手腕が大きい。全権監督として巨大補強にゴーサインを出した張本人ではあるが、一方でこうした最悪の場合を想定し、極めて早い段階から控えの若手選手たちにも目を配っていた。

大型補強の裏でヤングGにもしっかり目配り

 これまでの巨人では、補強に失敗すると、期待を裏切った新戦力とともに、まるで一蓮托生のような形で急落していくことが多かったのは否めない。

 過去にこうした悪しき前例があることを百戦錬磨の原監督も十分踏まえていたのであろう。昨オフ就任直後の秋季キャンプ、そして早々に指揮を執った昨年11月のエキシビションゲーム・MLBオールスターズ戦から若手発掘に心血を注いでいたのも、恐らくそのためである。「巨大補強ばかりにまい進し、肝心の若手育成がおざなりになっている」との批判を受けながらも、その裏側では新戦力がコケた場合のことも想定し、きちんとヤングGたちに目を配っていたのだ。つまりは不測の事態に備えた危機管理を万全にするため、しっかりと代役要員も固めておく「プランB」も抜かりなく準備していたのである。

 その「プランB」の面々が、今季の原巨人では躍動している。新戦力ではないが、チームは不動の二塁手としてさらなる飛躍を見込んでいた吉川尚輝を開幕早々から腰痛による長期離脱で失う。これはかなり手痛いダメージかと思われたが、原監督ら首脳陣は山本泰寛や田中俊太を代役でスタメン起用し、その穴埋めに成功。そして新戦力のビヤヌエバが二軍に落ちると、ユーティリティープレーヤーの田中を三塁でスタメン起用するケースも見られた。