ベートーベン700体、生誕250年祝い展示 独

ベートーベンの生誕250年を記念したインスタレーションを手掛けたオットマー・ヘール氏(2019年5月15日撮影)。(c)INA FASSBENDER / AFP〔AFPBB News

 フェイスブックが引き起こした情報事故の爾後フォローで、社会貢献の一環としてミュンヘン工科大学TUMに10億円ほどの寄付を行い、AI倫理研究センターが設立されることになりました。

 私の長年の近しい友人がディレクターに任命され、10月7日のキックオフに向けて、現在懸命の準備を進めています。

 東京大学は、TUM-AI倫理研究センター設立決定直後の最も早い時期から、様々なレベルで協力を推進しており、本稿もその出張で訪れたミュンヘンで書いています。

 今回、東大サイドから持っていった案件は、エストニア共和国大統領府などと連絡を取って進めていく「暗号資産(Encrypted Asset)」に関する共同研究でしたが、ミュンヘンサイドからリクエストのあったAI国際共同研究は「音楽」に関するものでした。

 なぜそうなるのか・・・。

 私が担当者として責任を持っており、ミュンヘンサイドのトップも私と長年、音楽の仕事で共同研究のある親友だから、という現実的な一面があるためでもあります。

 しかし、もっと異なる、より本質的で長いスパンで未来を見つめる「欧州ならではの動機」が実は存在しています。

 来年2020年は、東京オリンピックであるとか、様々なイベントが予定されています。欧州では、ルートヴィヒ・ファン・ベートーベン(1770-1827)が誕生して250年目にあたる区切りの年になります。

 今回私が現地での打ち合わせでミュンヘン工大AI研究センターからリクエストされたのは、2020年に「ベートーベン生誕250年記念行事を国際協力で行いたい」というものでした。

 なぜAI倫理は、ベートーベンに注目するのか。その背景を探ってみましょう。