これが平成30年間の世界秩序の大きな変化を示している。

 為替レートの変動によりGDPの数値が上下するが、長期的に見て米国のウェイトが低下し続けていることは間違いない。

 先行き為替レート次第では、2030年頃に米国のウェイトが20%前後にまで低下する一方、中国のウェイトが若干上昇し、やはり20%前後に達する可能性がある。

 その後、両国の経済成長率が低下し世界経済全体のそれを下回れば、ウェイトは長期的に低下し続ける。

 かつて米国1か国で50%を上回っていたが、米中両国を合わせても40%に達しない時代が近づいている。これが多極化の到来である。

4.日本の針路

 米国の圧倒的な経済力・軍事力に支えられた一極覇権主義体制が変質すれば、米国も余裕がなくなってくる。

 他国の経済力・軍事力に対して脅威を感じやすくなり、日本も再びそうしたリスクにさらされる可能性が高まる。

 その延長線上で考えられることは日米同盟の相対的な弱体化と日本に対する負担増加要求の強まりである。

 長期的な米国の相対的地位低下は、日米同盟を堅持するとしても米国側に日本の面倒を見る余裕がなくなっていくことを意味する。

 日本は、米国にとって最大の脅威となる中国の隣に位置しており、米国の西太平洋地域の安全保障政策上極めて重要な同盟国であるが、中国の軍事力増強とともに米国は安全保障体制維持に必要なコスト負担に耐えられなくなってくることが予想される。