中心の大きなガスの塊では、自らの巨大な重力により水素の核融合反応が始まり、太陽となる。

 太陽の周囲の円盤状のガスの雲は、当初は高温であったが冷えるに従い粒になり、粒同士が衝突していくことで、小惑星や惑星になっていく。この最初の段階で現れた粒や粒が大きくなったものがC型小惑星やCコンドライトである。

 太陽では水素の核融合反応でヘリウムができているが、その他の元素は誕生当初のまま、核反応をしていない。水素とヘリウム以外の元素比は、太陽系を作ったガスの元素比を維持していると考えられている

 Cコンドライトも水素やヘリウムなどの一部元素以外は太陽の成分に一致する元素比を持つ。太陽を作った太陽系初期のガス雲からCコンドライトが生まれた証拠である。

 Cコンドライトは初期の状態を保っている。Cコンドライトは熱を受けると抜けてしまう水や、分解してしまう有機物を含む。初期の状態を保っているのだから、調べれば太陽系初期の状況が分かることになる。

 太陽系の初期の状態だけでなく、CコンドライトやC型小惑星は生命誕生の起源に迫る可能性がある。生命は地球上の無機物から有機物が合成され、その有機物から生まれたというのが通説である。

 しかし、その有機物がどのように合成されたかについては、まだ明らかにされていない。生命の起源はCコンドライトがもたらした宇宙由来のアミノ酸ではないかという説がある。

 Cコンドライトが地球にたんぱく質の原料となるアミノ酸をもたらし、そこから生命が誕生したというのだ。

 普通の隕石である普通コンドライトや隕鉄のような他の隕石でも、興味深い情報は得られるだろう。しかし、普通コンドライトは熱変性を受け有機物や水は失われている。

 隕鉄は一度惑星のコアになり、惑星が何がしかの理由でバラされた時に放り出されたものだ。地球内部の様子については教えてくれそうだが、その昔についてはあまり教えてくれそうもない。