名将・マンチーニも歴代指揮官が抱いた悩みに直面した。写真:ロイター/アフロ

 イタリア代表は復活できるのか。1分1敗に終わったUEFAネーションズリーグで名将マンチーニは言った。

「各チームの監督は、もう少し若手を起用する勇気を持つべきだ」

 自国リーグに自国選手が出られない――この問題は歴代の指揮官が指摘し続けたものだ。

 これはイタリアだけの問題ではない。イングランドら「サッカー大国」と言われた国々が長きにわたりこの課題との折り合いを模索している。

 Jリーグにおいても、幾度となく議題に上がってきた「外国人枠の撤廃」が来シーズン実現するかもしれない。イニエスタ(ヴィッセル神戸)、トーレス(サガン鳥栖)の移籍は観客動員、リーグ活性化にも効果があった。ただし、いいことばかり、とは言えないだろう。イタリアの現在の姿はそれをはっきりと映し出している。(JBpress)

歴代監督がぼやいたセリエAの現実

 ロシアW杯出場を逃したイタリア代表は、名将ロベルト・マンチーニ監督のもとで再建を図っている。先日は新体制下初の公式戦となるUEFAネーションズリーグに挑んだが、ポーランド戦ならびにポルトガル戦のメンバー発表は大きな驚きをもって迎えられた。

 若手中心。

 その中には19歳のニコロ・ザニオーロ(ローマ)と17歳のピエトロ・ペッレーグリ(ASモナコ)という20歳以下の選手も名を連ねていたのだ。

 2人ともイタリアの世代別の代表では常連となっていた選手で、国際大会でも評価を得ている。だがフランス・リーグアンに戦いの場を移してゴールも挙げたペッレーグリはともかく、ザニオーロはリーグ戦での出場がない。

 また彼らの他に選ばれた若手の中にも、今回が初招集という選手や、所属クラブで思うように出場機会を得られていない選手も数人いた。

 代表チームは、常に現時点での最強メンバーで構成されるべきだと言われる。それを原則とすれば、即戦力として機能するかどうか明らかに疑わしい人選は間違いだということになる。しかしマンチーニ監督は、3日の記者会見でこう言い放った。

「これから出場機会が得られるならザニオーロは呼ぶし、ほかの若手のことも見るつもりだ。今までこんなにイタリア人選手がセリエAに出られなかったことはない。良いイタリア人の若手はベンチにしばりつけられ、大して良くもない外国人選手が出場できている。各チームの監督は、もう少し若手を起用する勇気を持つべきだ」

 外国人選手が多すぎて、イタリア人選手の出場機会が追いやられている――同じことは歴代監督も指摘していた。アントニオ・コンテ(2014-16)も言っていたし、チェーザレ・プランデッリ監督(2010-14)に至っては「彼らが所属クラブで使われていないから我々が使わざるを得ない」とぼやいていた。

 自国・イタリア人の人材を育てられてないリーグと化したセリエA。

 この国のサッカー関係者は、そんな問題意識を抱いている。

 実際のところはどうなのか。