それだけではない。ヴォストーク2018はロシアにとって敵対的になってきているアメリカをはじめとするNATOに向けた威嚇だけでなく、日本に対しても強いメッセージを突きつけている。すなわち、安倍首相が出席する東方経済フォーラムと同時期にロシア東方地域に900両もの戦車を含む30万もの大軍を展開させることによって、ロシアの強大な軍事力を誇示して見せたのだ。

 もっとも、今回は陸軍力が主体であり、ウラジオストク訪問中の安倍首相に対して露骨な軍事的威嚇を加えたわけではない。だが、引き続き本年中には、中国海軍とロシア海軍による合同演習「ジョイントシー2018(Joint-Sea 2018)」が実施されることになっている。そして、すでに国後島にはバル地対艦ミサイルが、択捉島にはバスチオン地対艦ミサイルが配備されているだけでなく、択捉島にはロシア空軍が誇るSU-35戦闘機が数機配備(常駐かどうかは未確認)されている。

バル地対艦ミサイルの射程圏。内側の円は対艦攻撃の場合、外側の円は対地攻撃の場合
バスチオン地対艦ミサイルの射程圏。内側の円は敵艦をステルス攻撃した場合の射程圏、中円は通常の対艦攻撃の場合、外側の円は対地攻撃の場合

 このようなロシア極東でのロシア軍の対日軍備態勢やヴォストーク2018は、まぎれもなく軍事的威嚇と言ってよい。プーチン大統領は、ウラジオストクを訪問している安倍総理に、「日本は、話し合いによってロシアから千島列島を取り戻すなどという幻想に近い政策は捨て去り、現実を直視して平和条約を締結し、いわゆる北方領土や樺太を含むロシア極東での経済協力に推進しウィン=ウィンの関係を築くべきだ」という無言のメッセージを突きつけているのである。