当然、半導体の種類や工程数によって、1チップを製造するための電力量は、それぞれ、違うだろう。しかし、20年ほど前に、DRAM1チップ製造するのに必要だった電力量1kWhに対して、10倍以上のものはないだろうし、逆に10分の1のものもない。だいたい、1kWhの半分~倍の間の値を取るのではないかと思われる。

 そこで、すべての半導体チップを製造するために必要な電力量を、第1次近似として、1kWhと仮定する。

 続いて、2020年に半導体が何個製造されるかを見積もってみよう。図5に、半導体出荷個数の推移および平均販売価格の推移を示す。この図から、半導体出荷個数は、2013年に7000億個に到達し、毎年250億個ずつ増大していることが分かる。それゆえ、2020年は、7000億個+(250億個×7)=8750億個(0.875兆個)になると計算できる。

図5 半導体の出荷個数、平均価格の推移。半導体出荷数は毎年250億個ずつ増大している。
(出所:ガートナーおよびWSTSのデータをもとに筆者作成)

 しかし、2020年に製造される半導体チップはこれだけでは済まない。図1に示したように、2020年には1兆個のセンサが世界を覆うと予想される。1兆個のセンサには、それぞれ、センシングしたデータをプロセッシングするCPU(またはSOC)、メモリ、通信半導体が付帯されているはずである。したがって、1兆個のセンサが世界を覆うということは、3兆個の半導体が製造されると考えてよい。2016年からの5年間に3兆個の半導体が製造されるとすると、2020年には、0.6兆個の半導体が製造されることになる。

 以上を合計すると、2020年には、0.875+0.6=1.475兆個の半導体チップが製造されると計算できる。前節で、半導体1チップを製造する電力量を1kWhと仮定したから、2020年に世界で半導体製造に必要な電力量は、1.475兆kWhになる。

 2020年に世界の総発電量は約30兆kWh、日本の総発電量は1兆kWhと予測されている。よって、世界の半導体製造に必要な電力量1.475兆kWhは、世界の電力量の4.9%、日本の電力量の1.475倍に相当することになる。