最後に、ビッグデータが本格的に普及し、それにともなって半導体市場は史上空前の活況を帯びているが、電力供給がボトルネックとなって、飽和する可能性が高いことを論じる。

「アルファ碁」が消費する膨大な電力

 2016年3月、グーグルが開発したディープラーニング機能を持ったAI「アルファ碁」が、人間のチャンピオンである李世ドルに4勝1敗で勝利した(図2)。「向こう10年は、コンピュータは人間に勝てない」と言われていた囲碁で、いとも簡単にAIが勝ってしまったため、このニュースは世界を驚かせた。そして、AIが大ブームとなり、今に至っている。

トップ棋士に連勝のAIソフト、名誉九段に認定 「神」級の能力

図2 米グーグル傘下のディープマインド社が開発した人工知能(AI)の囲碁ソフト「アルファ碁」と対局する韓国の李世ドル九段(右)。ディープマインド社提供(2016年3月12日提供)。(c)AFP/GOOGLE DEEPMIND〔AFPBB News

 しかし、アルファ碁は、途轍もなく高価なシステムであり、膨大な電力を食うAIであることが明らかになっている。

 アルファ碁には、1202個のCPUと176個のGPUが使われていた。CPUとは中央演算処理装置のことで、インテル製の高性能CPUなら10万円以上する。また、GPUは、米半導体メーカーNVIDIAが市場を独占している並列処理が得意なプロセッサで、1個100万円以上する。つまりアルファ碁は、使用したチップだけで、(1202×10)+(176×100)=2億9620万円もする。

 そして、このアルファ碁は、25万Wの電力供給が必要である。さらに、アルファ碁は過去の棋譜などのデータベースを検索しながら最適解を見出していると思われるが、そのために1000台のサーバーが使われた。その電力は明示されていないが、恐らく100万W以上であると思われる。その根拠となるのが、日本最大のデータセンタ「TELEHOUSE TOKYO Tama 3」への供給電力量だ。「Tama 3」には1300台のサーバーが設置されており、そこに供給される電力が140万Wである(図3)。「Tama 3」は、グーグルのアルファ碁に必要とされたサーバーの数(1000台)とほぼ同じ規模なので、グーグルのアルファ碁に使われたサーバーへの供給電力は100万W以上と推測され、アルファ碁と合計すると、その電力は125万W以上なると考えられる。

図2 日本最大のデータセンタ「TELEHOUSE TOKYO Tama 3」の外観(出所:テレハウス)