確かにアルファ碁は強かった。だが、アルファ碁のソフトを走らせるにはチップだけで約3億円の費用が必要であり、125万Wもの電力を供給しなければならなかったのだ。

 AIの有効活用は、人間の生活やスポーツやビジネスの手法を大きく変えつつある。しかし、その中心にあるAIやデータセンタは、途轍もない費用と膨大な電力を必要としている。筆者は、ここに一抹の不安を覚える。特に電力については、2011年3月11日の東日本大震災で福島原発が事故を起こして以来、原発の新規建設が困難になってきている。それゆえ、ビッグデータ時代に電力事情がどうなるかが心配である。

2020年に製造される半導体の数と必要な電力量

 次に、2020年に半導体製造にどれだけの電力量が使われるか、また2020年にデータセンタが消費する電力量はどうなるかを予測してみたい。

 かつて東芝でDRAMの開発に関わっていた筆者の知人によれば、1990年台にDRAM1チップ製造するのに必要な電力量は、1kWhだったという(図4)。

図4 DRAM1チップ製造するのに必要な電力量は1kWh

 1990年台に500ステップほどだったDRAMの製造工程数は、現在は1000ステップにも及ぶ。したがって、現在の最先端DRAMの製造に必要な電力量は1kWhよりも大きいだろう。しかし、せいぜい2倍程度ではないかと思う。

 DRAM以外のメモリにはNANDやNORがある。また、メモリ以外にも、CPUやGPU、CMOSイメージセンサ、特定用途向けのロジックASICやSOCなどがある。