埼玉医科大学にて打ち合わせをする埼玉医科大学消化器外科副診療部長の合川公康教授(左)とリソテックジャパン取締役の関口淳さん

 全国各地で繰り広げられる医工連携。中でも半導体製造装置の技術で医療に参入する企業の動きが目立つ。

 埼玉県川口市に拠点を置くリソテックジャパンもその一社。

 リソグラフィという、感光性の物質を塗布したシリコンウエハー上に数10μm(マイクロメートル、マイクロは100万分の1)から数10nm(ナノメートル、ナノは10億分の1)の微細な電子回路パターンを転写する技術を強みとする。

 同社はこのリソグラフィをバイオミメティクス(生体模倣技術)に応用し、医療への技術展開を図る。

 バイオミメティクスとは生物が持つ機能や性能を模倣する技術のことで、例えば、水を弾くハスの葉の超撥水性が防水用品に応用されている。

 リソテックジャパンが開発を進めるのは、胆管ステント。胆管ステントは、胆管がんや胆道閉鎖症による胆道狭窄を防ぐための処置に使われる。

 胆道狭窄が原因で黄疸や、命を落とす肝不全に至ることがある。胆道狭窄を防ぐ治療として、胆汁の流れを確保するため胆管ステントを胆道内に留置する処置が行われている。

 胆汁とは、肝臓で分泌される液体で、脂肪を水に溶けやすくすることで脂質の消化吸収を助ける。

 主成分には赤血球の老廃物であるビリルビン、コレステロール、胆汁酸などが含まれる。胆汁に含まれる油分が胆管ステントを詰まらせる原因になっている。