入学者数が少なくなると、大学はどうなるのか。

 18歳人口が再減少期に入るという「2018年問題」が実際に到来したことを前提に、前回の記事では、現時点で780校ある大学(文部科学省「学校基本調査」2017年)が、今後どうなっていくのかについて、いくつかの角度から推測を巡らせた。

 将来のことなので断定は慎むべきであろうが、結論は、留学生や社会人学生の激増を見込むことは現実的でない以上、頼りは大学進学率の上昇ということになるが、それも微増にとどまるのではないかというものである。端的に言えば、現在の規模での大学数を維持することは困難であろうということである。

 とすれば、こうした状況を前提として、文科省の高等教育政策は、どのような対応をとろうとしているのか。今回の記事では、この点を見てみたい。

政策的関心が高まった時期

 この問題を巡っては、最近、政策的な動きがにわかに加速しているように見えるが、まずは、時間軸を少々遡ってみる。いったいいつ頃から、文科省は、大学が経営破綻する可能性があるという事態に対する政策的な対応を模索しはじめたのだろうか。

 確たる証拠があるわけではないが、2000年代初頭ということになるのではないか。もちろん、「このまま推移すると、いずれは」といった意識はもっと早くから存在したと思われるが、具体的な政策的な対応が必要だと実感されはじめたのは、という意味である。

 事実として、入学者の「定員割れ」を起こす私立大学は、1995年には全体の4%に過ぎなかったが、2000年には28%へと跳ね上がっており、以後は40%台にまで増進していく。この背景には、大学の数が、同じ5年間に410校から471校へと急増し、その後もさらに増え続けていくという事態があった。