異動した部署でいきなり部下を管理しようとすると、反感を買うだけだ(写真はイメージ)

 中間管理職のダークサイド化現象が近年目立つ。決定権もないのに情報を抱え込み滞留させる、といった日常的なものから、組織の変革を拒み抵抗勢力化する、はては部下の成果の横取りやパワハラまで、様々な害毒をもたらす中間管理職はなぜ生まれるのだろうか。
 ダークサイド化する管理職の意識の底に、権力についての誤った捉え方がある可能性がある。そのことへの気づきが、古いタイプの管理職から新しいタイプのマネージャーへ脱皮するヒントになるはずだ。

害悪を垂れ流す中間管理職

 勤怠管理や経営情報の共有など、管理職の伝統的な業務の多くはすでにITやイントラネットに置き換わり、タスクとしては消滅していますが、今後、AI等を用いたHRTechによりますます今の管理業務は消滅していくでしょう。

 ある大手流通系企業は、若手の仕事を奪い、変革に抵抗する中間管理職をやめさせるために、1人当たり5000万円もの割増退職金を支払うことにしたそうです。

 そうした一部の企業だけでなく、どこの企業でも、本人には意思決定する権利がないにもかかわらず、情報を滞留させる、意思決定できないので不安になり、無駄に会社内の総意をつくろうとして他部門を関係させる、そのことで、関係者が多くなり、意思決定のスピードがますます遅延、というより、意思決定自体が難しくなる、などの弊害が目立つようになってきました。

 なぜ中間管理職はこういう間違いを起こし、害悪を垂れ流すダークサイドの存在になってしまったのでしょうか?

ダークサイド化する人の「権力」に対する認識

 問題の根っこにあると考えられるのは、彼らの心の底にある「権力」に関する誤った捉え方です。