前回の記事(「『社畜予備軍』と『未来の社長』を分けるもの」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52505)でご紹介したマキャベリ脳診断テストで左下に位置する「社畜予備軍」の人たちは、あるべきコンセプトの実現に邁進する、という権力のポジティブな役割を認めず、権力を否定的に捉え、権力からできるだけ距離を置こうとします。

 勘違いしてしまう管理職も、権力を否定的に捉えているという点では、社畜予備軍の人たちと同じです。

 社畜予備軍との違いは、権力から距離を置くのではなく、権力の一部となり勝ち組に回りたい、と考えているところです。つまり、「ゼロサムゲームの中で、勝つ方に属したい」「おいしい権力を、自分にも分けてほしい」いう感じです。権力を否定的にとらえつつ、しかも権力を得ようとアクティブに行動するので、非常にたちが悪くなります。

 彼らが自分自身のゴールを追い求めていく中で、組織の利益は損なわれます。部下の成果を盗む、部下に理不尽な圧力をかけて権力を誇示し、チーム全体のモティベーションをダウンさせる、競争相手の同僚のプロジェクトを失敗するように工作する、などなど、組織の利益を損なってでも自分自身の権力を強くしたい、ということになります。

 しかし本来、企業で本当に権力を持つのは社長だけです。誰もそれ以外の中途半端な権力者を必要としていません。決定権もないのに「自分が意思決定する!」とできないことをやろうとする結果、情報を滞留させ意思決定を遅らせるのです。

 経営者の方も、時代遅れの「ワンマン社長」と批判されることを恐れるあまり、中間管理職に仕事を丸投げし、依存してきたこれまでの怠慢が、ここまで問題をこじらせてきたと思います。本来、会社には本当の権力者が1人いるだけで、中間管理職には何の権力もない、というのが正しい認識です。

マネージャーは上に立つのではなく「土台」に

 それでは自分がダークサイドに堕ちないためには、どうずればいいでしょうか?