平昌オリンピック直前から韓国と北朝鮮の間には融和ムードが漂いはじめ、アメリカにおいてすらも北朝鮮問題は外交交渉による解決を期待する雰囲気が生じている。アメリカ政府の対北朝鮮政策は平昌オリンピックによって“中だるみ状態”に陥っているかに見えなくもない。
しかし、「北朝鮮との外交交渉にだけは一切期待を持ってはならない」「場合によっては北朝鮮に対する軍事攻撃を敢行しなければならない」と考えるアメリカ国防当局そしてホワイトハウスの対北朝鮮強硬派は、政府の政策がぶれていないことを再確認している。
トランプ政権はティラーソン国務長官率いる外交交渉チームによる外交的解決を最優先させている。しかしながら、外交によって北朝鮮情勢を好転させる(アメリカ側にとって)見込みは低く、楽観的に構えても北朝鮮側に何らかの妥協をしなければならなくなると考えざるをえない。したがって、楽観的な望みを差し引くならば、外交的解決を諦める軍事的解決に切り替える時点、すなわち「レッドライン」を確定しておく必要がある。
トランプ政権首脳たちがかねてよりしばしば口にしているように、レッドラインは、北朝鮮がアメリカ本土を直接攻撃することが可能な核弾頭搭載長距離弾道ミサイルを完成させ、確実に増産する技術力を手にした時点(理想的にはその直前)であり、その政策は変わっていない。