人工知能やロボットが奪う「人の仕事」、専門家らの意見

ロボットやAIの導入で人間の作業はどんどん高度化せざるを得なくなる。写真は仏アルジャントゥイユの病院で、薬を取り扱うロボット(2013年7月23日撮影)。(c)AFP/Fred DUFOUR〔AFPBB News

労働生産性向上のためのデータ活用が
かえって現場に混乱をきたしている実情

 政府が「働き方改革」を推進する中、全国の企業では労働時間の短縮に務めると同時に、労働生産性の向上を図るため、データ活用による収益向上に取り組んでいる。

 しかし企業は、営業部門だけでなく、財務部門、広告宣伝部門、店舗などの売り場、EC部門などでそれぞれ異なったデータを保有しており、それを集めて分析したり、統合して活用したりしようと思うと、かえってそのための膨大な作業が発生する。

 そこで企業では各データを一元管理するため、マーケティング活動をIT技術によって自動化するツール、マーケティングオートメーション(MA)の導入を図っているが、導入するために必要な作業もまた膨大だ。

 そのためMA導入を図る企業のマーケターたちは、データ収集やデータ変換の作業に追われてしまう。マーケティング戦略を立てて実行するという本来の仕事ができず、データ活用で収益を上げるという目的も達成できていないのが実態だ。

 つまり、働き方改革を実践するにはデータ活用が必要だが、その仕組みを整える作業に負担がかかるため、なかなか企業のデータ活用が進んでいかないのだ。

 そうした状況の中で、ここ数年、大手企業が続々と導入しているサービスがある。それがフロムスクラッチというITベンチャーが3年半前に開発、発表した「b→dash」だ。

 「b→dash」は、企業が保有する膨大で多岐にわたるユーザデータ、広告データ、購買データなどのビジネスデータを一元的に取得・統合・活用・分析するSaaS型のマーケティングプラットホームで、AIによる解析で最適なマーケティング施策を割り出し、実行する工程までを自動化するというものだ。

 2014年10月にb→dashのサービスが始まって以来、導入に必要な作業にかかる労力と時間が少なく、使い勝手が良いことが支持され、キリン、日清食品、DeNA、ABCクッキングスタジオ、シダックスなど大手企業数百社が導入している。

 ベンチャーキャピタルもその将来性を見込んでおり、昨年には産業革新機構、Rakuten Ventures Japan Fundなどが32億円を投資。フロムスクラッチは累計で約45億円の資金を集めている。

 そのフロムスクラッチが2月5日、b→dashに4つのコア・テクノロジー(特許申請中)を実装するなど、大幅な改良を加えた「b→dash Prime Update」と、中小ベンチャー向けの新プロダクト「b→dash Lite」を発表した同社初の記者会見を取材した。