人の手で追いつかない作業は
すべてAIに任せてしまえばいい

 記者発表会の後、安部CEO(最高経営責任者)への個別インタビューに臨んだ。

 まず聞いたのは、マーケティングのソリューションであるb→dashの開発を進める大きな目的として、「働き方改革」の推進という大テーマを掲げていることだ。

 これについて安部CEOは「働き方改革は、労働時間の最適化とともに、労働生産性向上の戦略をセットで考える必要がある。その戦略がないまま労働時間を削減するだけでは単なる働き方の“改善”であって、“改革”ではない」と語る。

 政府が推進している働き方改革の根本には、人口減少とGDP(国内総生産)の相関関係の問題がある。

 働く人が減少する中で日本経済を維持していくためにはどうすればいいか。解決策は大きく2つある。

 1つは労働人口を増やすこと、もう1つは労働生産性の向上だ。前者はどれも簡単ではなく時間もかかる。そこで後者の生産性の向上を図るため、政府がデータ活用を推進しているというのが現在の状況だ。

 「データを活用してソフトウエアによる自動化が進めば10人の仕事が1人でできるようになり生産性は10倍に上がる。仮にすべてソフトウェアがやれるようになれば人は不要となり、労働生産性はn倍、つまり無限大に上がる」(安部氏)

 しかし、前述したように、企業の現場ではデータ活用のためにかえって膨大な作業が発生し、現場に混乱をきたしており、それが現在企業の抱える“闇”となっている。

 なぜ混乱するのか。「リテラシーを持つ人材が少ないのに、データを駆使して収益アップを図りたいとの要請が急激に高まっている」(安部氏)からだ。

 「電通の女性社員の過労死も、まさにそうした現場の事情から生まれた悲劇だった。しかし私たちエンジニアからみると、データ活用に必要となる作業の多くは、言葉を選ばず言えば、“雑務”の範疇だ。そこにマーケティングの専門知識を持った作業員が張りつかざるを得ないのが現場の実情」(安部氏)