日本向けF-35A発表式典でのF-35Aと杉山良行航空幕僚長(写真:ロッキード・マーチン)

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 1月26日、航空自衛隊がアメリカから調達を開始したF-35Aステルス戦闘攻撃機の一番機が空自三沢基地に配備された。小野寺五典防衛相は「優れた能力を持つF-35の配備は安全保障上極めて大きな意義がある」と語っている。だが、どれほど日本の国益に利すのであろうか?

146億円に「ディスカウント成功」

 日本国防当局は、現時点において42機のアメリカ空軍仕様のF-35Aを調達しようとしている。アメリカからの主要兵器輸入を強く推し進める日本政府は、さらにアメリカ海兵隊仕様のF-35Bを追加調達するとの噂も流れている。

 いずれにしても、アメリカがF-35のような主要高額兵器を外国に輸出する場合、「FMS」(対外有償軍事援助)という方式によることになっている。

 FMSの仕組みを一言で言うならば、アメリカ側(国防総省国防安全保障協力局──DSCAが主務官庁でホワイトハウスならびに米連邦議会の承認が必要である)の設定した“言い値”での輸出である。

 当然ながら、DSCAが決定する輸出売却価格は、アメリカの防衛産業を保護するためにアメリカ軍調達価格よりはかなり高額になる。また、売却価格のおよそ4%がアメリカ政府の懐に転がり込む仕組みとなっている。

 ただし、日本によるF-35A調達に際しては、FMSとしては異例の価格交渉が行われ、日本側は値下げを勝ち取った。これは、FMS(とりわけ気前よく言い値で買い取る日本に対するFMS)では“変事”ともいえる事態だった。