日本能率協会(JMA)は2011年に、日本国内ならびに中国、アジア諸国の生産拠点において、改善・改革に努めながら成果を積み重ねている優良企業を表彰する「GOOD FACTORY賞」を創設した。「アジア・共進化」を念頭に置いて選定を行い、これまでの7年間で44工場を表彰させていただいた。筆者はこの表彰制度の創設から関わっている。
この11月、GOOD FACTORY賞を受賞した28社の事例から、その成功の秘訣を解説した『最強の工場をつくる48の工夫』(一般社団法人 日本能率協会 GOOD FACTORY研究会著、日経BP社)という書籍を出版した。
今回より3回にわたり、同書の中から、アジア地域で現地人従業員の自立化を促して大きな成果を上げている3社の日系現地工場を取り上げ、そのマネジメントについて紹介したい。
食堂の改善に立ち上がった従業員たち
1社目は、日立金属タイランド(2014年受賞)である。
同社は1991年にタイのアユタヤに設立された日立金属の現地法人だ。この地域に住む女性を中心に約2000名が働き、車載部品・電子部品など多くの金属製品を製造している。
同社は会社のポリシーとして「従業員の働く喜びと成長する喜び」を標榜しており、一般従業員による自立化活動を数多く行っている。