ドイツ政府が推し進めている「インダストリー4.0(第四次産業革命)」は、ITやIoTなどの新たな技術を使い、製造業全体の“スマート工場化”を目指すプロジェクトだ。ドイツでは、インダストリー4.0の実現に向けて産官学が一丸となり、プロジェクトを進めている。一方、ドイツと並んでモノづくり大国と呼ばれる日本の製造業は、IoTの導入をはじめスマート工場化が他国と比較して進んでいるとは言い難い……。

このままでは、深刻な“遅れ”となる可能性が高い日本の“スマート工場化”。その課題について、みずほ情報総研株式会社経営・ITコンサルティング部マネジャー、武井康浩氏に話を聞いた。

スマート工場のメリットとツールとしての“IT”や”IoT”

ひとくちにスマート工場といっても、その定義はさまざま。武井氏によれば「必ずしも、IoTやITを単純に導入することがスマート工場化の十分条件ではない」とのこと。

「スマート工場の定義はとてもあいまいで、極端にいえば人によってそのイメージするものが変わります。その中で、観点として重要なことのひとつは、従来の製造工程からさまざまな“ムダ”を見つけ出して、より賢い製品づくりができるか、という点にあります」

それでは、スマート工場化によって得られる具体的なメリットとは、どのようなものなのだろうか?