米国の対北軍事作戦には地上侵攻は不要と断言する軍事専門家と言われる人もいるようだが、明らかに米軍の見解と異なり、また、情報の欠陥や不確実性に関する軍事常識を欠いた議論にほかならない。

「戦場の霧」を晴らす
実効性ある「敵基地攻撃」能力の保持

 前述のとおり、敵基地攻撃能力を保持するためには「目標発見→捕捉追随→攻撃→戦果確認」のサイクルをしっかり確立しなければならない。

 わが国は、目標を発見し捕捉追随する決め手となるヒューミントの能力を欠いており、その整備が最大の課題である。

 陸上自衛隊(陸自)には、平成16(2004)年に創設された中央即応集団隷下の「特殊作戦群」が存在する。

 部隊の性質上、その任務や訓練の内容、保有する装備などは一切公表されていないが、アメリカ陸軍特殊部隊(グリーンベレー、デルタフォースなど)と同様、他国における特殊偵察や直接行動、情報戦などの多様な任務を遂行することができる世界水準の特殊部隊を目指していると言われている。

 海上自衛隊(海自)にも、能登半島沖不審船事件を機に、平成13(2001)年、全自衛隊で初めて特殊部隊としての「特別警備隊」が創設された。

 海上警備行動発令下に不審船の立ち入り検査を行う場合、予想される抵抗を抑止し、不審船の武装解除などを行うための専門部隊として新編されたものである。

 米海軍「Navy SEALs」に代表される海軍コマンドと同様に、海岸・沿岸地域の偵察や陸上における人質救出作戦などの多様な任務にも耐え得るものとみられている。

 また、空自は、ヒューミントではないが、「長距離を飛行し、空から超高性能なカメラを使って地上の様子を分析し把握するための航空機」である「RF-4E/EJ」偵察機を保有している。