「スクラム」では、ラグビーのようにチームが一丸となって開発を進めていく(写真はイメージ)

 従業員に生産性を高めながら生き生きと働いてもらうためにはどうすればいいのか──。今、あらゆる企業に「働き方改革」という課題が突きつけられている。アジャイル開発はその実現のための切り札になるかもしれない。

 来る2月15日、JBpressは企業経営者や新規事業開発のキーパーソンに向けてセミナー「Digital Innovation Leadership ~ビジネスを創造する組織戦略~」を開催する。本セミナーでは、組織的にイノベーションを実現する方法の1つとして“アジャイルな組織への変革”に焦点を当てる。アジャイルとはソフトウエア開発の世界で広がりつつある新しい開発手法である。

 従来のソフトウエア開発は「ウォーターフォール型」で行われていた。ウォーターフォール型とは、事前に収集した要求を基に分析・設計・実装し、最後に全体テストをする手法だ。基本的に各工程間で後戻りは許されず、ドキュメントで工程間を伝達する。それに対して「アジャイル開発」は、分析、設計、実装、テストを短い期間で並列に行い、繰り返す。

 アジャイル開発には「ソフトウエアを素早くリリースしてユーザーを獲得できる」「ユーザーの反応を見ながらソフトを追加・改変していくことができる」といったメリットがある。ビジネスのスピードがますます加速し市場環境の不透明さが増すなか、スピードと機動力に長けるアジャイル開発は、ソフトウエア開発のみならず、あらゆる新製品、新サービスの開発や新規事業の展開、経営全般に適用できる可能性を秘めている。

ソフト開発に取り入れられた「スクラム」

 セミナーの開催に先駆け、JBpressではアジャイル開発の効果と経営手法としての可能性をテーマに、登壇者の3名に鼎談を行っていただいた。

 その3名とは一橋大学大学院国際企業戦略研究科 名誉教授の野中郁次郎氏、KDDI ソリューション事業本部 ソリューション事業企画副本部長 兼 クラウドサービス企画部長の藤井彰人氏、チェンジビジョン社長・永和システムマネジメント社長の平鍋健児氏である。