杉村 そうそう、そこが大会をつまらなくさせているよね。どうして錦織圭選手とか出ないのかなって、率直に思う。松岡修造さんなんて、一度も全日本には出場していないんじゃないかな。今年は森田あゆみ選手も、もちろん伊達さんも出てないし、中村藍子選手も出てないよね。結局、フェドカップ代表選手はほとんど出てないわけよ。これでは、真の意味で日本のチャンピオンを決める大会とは言えないよね。

森上 だからね、私はランキング上位7名と、残りの1名は都道府県チャンピオンが予選をして優勝者のみが参加できる、上位8名の大会を、できれば東京体育館の室内でやれたら最高だと思う。

杉村 それはいい考えだ。有明のセンターコートだけを使うという手もある。

森上 それもいいね。価値がグンと上がると思う。それに選手にとっても、お客様にとっても、10~11月の寒い中に屋外でやるよりは、室内でやれた方が絶対にいいに決まっている。

杉村 それは、すごくいいアイデアだと思うな。ただ、既存の全日本選手権を作り変えるのはすごくパワーとエネルギーがいるよね。「全日本ファイナル」とか「全日本マスターズ」みたいな名前で大会を新しく作ったらどうでしょう? 賞金もドーンと1000万円くらいにして。

森上 それはタイゾー君、頑張ってよ。期待しているわよ。そんな大会を作ってくれたら絶対に日本のテニス会はもっと盛り上がるし、世界で活躍する日本人選手のプレーが国内で見られることはとても素晴らしいことよ。

杉村 これ、本当にすごくいい考えだから、何とか実現できるように一緒に頑張りましょう。

初のツアー優勝トロフィーは、亡くなったコーチの自宅に

杉村 最後に、日本のジュニア選手とその親御さん、コーチに何か一言いただけないでしょうか。

森上 選手には、やっぱり自分を信じて、思い切って世界に挑戦してほしいと思う。

杉村 親御さんには?

森上 何て言うのかな、やはり子供にすごく期待すると思うんですが、あまりプレッシャーはかけてほしくないよね。のびのびとプレーをする。テニスを楽しむ。これが一番重要だと思う。

 それからコーチには、とにかくその子の可能性を最大限に引き出すという姿勢で指導してほしいと思います。私のコーチで、もう亡くなったジョンは、私のことをいつも「アッコはもっとできる。もっと強くなれる」と励ましてくれた。その言葉があったから私も頑張れた。ジョンには今でもとても感謝している。

 だから、私が初めてプラハの大会でツアー優勝した時、「優勝トロフィーを亡くなったジョンに捧げる」とスピーチして、表彰式の後、すぐにアメリカのジョンの家に向かったの。

杉村 それで、そのトロフィーは?

森上 今でもジョンの自宅に飾ってあるわ。

杉村 今日はどうもありがとうございました。

森上 ありがとうございました。