全日本選手権は賞金が安すぎる

杉村 今年の全日本テニス選手権を見るために、11月に、有明に3日間通ったんです。全日本は、とにかく賞金が安いですよね。優勝者でたったの約200万円。ゴルフの石川遼選手は1年で1億円稼ぐのに。テニスで同じ額を稼ぐとなると、全日本を50連覇しなくちゃいけない。これについてはどう思いますか。

森上 賞金が安いのは事実ですよね。しかし、選手の立場ではそんなことは言えません。スポンサーの方々や大会関係者の方々、チケットを買って会場に足を運んでくださるファンの皆様にはただただ感謝です。

杉村 でも、日本のテニス界を発展させようと思ったら、日本の最高峰の大会の賞金がたったの200万円というのは明らかに安すぎるでしょう。選手にとっても観客にとっても、いまひとつ魅力が足りない気がするのですが。

森上 参考になるか分からないけど、すごく驚いた話があります。実は「USオープン」(注:世界4大大会の1つ。ニューヨークで開催される)の2週間の興行は、地元のニューヨーク・ヤンキースの1年間の興行収入よりも上なんです。

杉村 どういうこと? ニューヨークでのホームゲームの興行収入?

森上 違う。ヤンキースの1年間の全試合、約140試合の興行収入と比べて、たった2週間のUSオープンの興行収入の方が上だということです。

杉村 えー、本当なの? 信じられない。

森上 信じられないでしょ。もっと信じられない話を教えてあげましょうか?

杉村 ぜひぜひ。

森上 では問題ね。USオープンのセンターコートにはVIPシートがあります。そこは6人1組の席なんだけど、もちろん大会期間中はフルエスコート。入場するのに並ぶ必要もないし、観戦中にワインのサービスもあれば、とにかく至れり尽くせりのサービス。そのVIPシート、いくらか分かる? ちなみに、そのVIPシートのチケットから売れるらしいんだけどね。

杉村 全然想像もつかない。

森上 じゃあ、ヒントね。センターコートの一番上の席。もう選手なんか米粒くらいにしか見えない席。あそこで約1万円。さて、どう?

杉村 うーん、米粒で1万円。ちょっと待ってくださいよ。びっくりするんですよね?

森上 うん、びっくりする。

杉村 2週間通じて、選手の目の前。ワインのサービス。しかも6人。もし1000万円だったら本当にびっくりする。