A long exposure photograph shows a view of Sainte Marie neighborhood while a lightning strikes in the sea during an evening thunderstorm in the Haitian Capital, Port-au-Prince, on September 21, 2016. (c)AFP/HECTOR RETAMAL

 私は公認会計士、心理カウンセラーとして経営コンサルティングを行っている。

 会社の経営のカギを握る要素は、ビジネスモデル、マーケティング、営業、採用、人材育成、資金繰り、資金調達など様々な要素が挙げられ、数字と心理の両面からそういったことに関するコンサルティングをさせていただいている。

 ただ、そういった活動の中で、経営がうまくいくかどうかを考える際にどうしても欠かせないと感じる要素がある。それは社長、部長、課長といった各リーダーの自尊心という要素である。

 人は自分の自分に対する評価を高く保とうとする本能を持っている。それは自尊心を高く保とうとする本能と言い換えることができる。

人間関係に影響を及ぼす自尊心

 自尊心とは「ありのままの自己を尊重し、受け入れる態度」と定義される。自己に対する評価が低いと、ありのままの自分を受け入れられなくなり、自尊心が低くなる。

 人は自尊心が極度に低くなるとうつ病などの精神的な疾患を引き起こすこともある。そのため、人間にとって自尊心を健全な状態に保つことは死活問題である。

 自尊心は対人関係にも大きな影響を与える。

 自尊心の高い人はありのままの自分を受け入れることができるため、他者からの評価を過剰に気にすることはない。他者を受け入れ、他者の考えを尊重し、他者を認める余裕がある。そして、失敗を恐れず、自分のやりたいことにチャレンジしようとする。

 ただ、自分が間違っている場合は素直に非を認めることができる。その根底には深い自信があり、地に足が着いた安定感がある。

 一方、自尊心の低い人はありのままの自分を受け入れにくいため、何とか自己に対する評価を高くしようとする。

 そのため、他者から受け入れられ、評価され、肯定されることを過剰に求める傾向があり、他者は比較対象となることから、他者を受け入れたり、心から他者を称賛したりすることが難しい。

 そして、自己に対する評価を下げることに大きな脅威を感じるため、なかなか素直に自分の非を認めることができず、失敗を他者のせいにしようとする。また、深い自信がないため、なかなか決断ができず、周りの目を気にして積極的な行動がとれない。