フランスのオランド政権が最大の危機を迎えている。2017年春の大統領選を1年後に控え、労働法改正を巡って社会党が内部分裂に陥っているのだ。
労働法改正の背景には、恒常的な約10%の高失業率問題がある。その要因として挙げられているのが、従業員に極めて有利に定められている現行の労働法だ。
労働法で強固に守られている労働者
日本でも正規の従業員を解雇するのは難しいが、フランスの場合は「1人を解雇するのに、労働法の専門家3人が弁護士とともに3年がかりでやっと成功する」と言われるくらい困難だ。そのため、企業は正規の従業員の雇用には慎重にならざるをえず、従って失業率も改善されない。
また、現行の労働法では労働時間の「週35時間まで」という制限や「有給休暇5週間」の保障が規定されているほか、公共交通網や飲食業などを除いて、デパートをはじめブティックなどは原則的に「日曜閉店」とされている。こうした規定から、「フランス人は働かない」「労働者天国」などの批判も生んでいる。