日本マイクロソフトが「働き方」の改革に挑んだ新しいオフィス(写真:日本マイクロソフト)

 先進国の中で最低とも言われる日本の労働生産性。少子高齢化が進み、グローバル競争が激しくなるこれからのビジネス環境において、企業の生産性向上はもはや避けては通れない課題と言ってよい。

 以下では日本マイクロソフトの事例を取り上げて、企業の生産性向上のヒントを探ってみたい。

 2011年に本社を移転した日本マイクロソフトは、移転と同時にワークスタイル変革の取り組みを進めてきた。この働き方の変革を通して、同社は事業生産性(1人あたりの売上)が26%アップした。それのみならず、旅費・交通費は20%削減し、女性離職率が40%もダウンする成果を得られたという。

 一体どのような働き方がこれらの成果をもたらしたのか。

組織横断のコラボで顧客対応スピードがアップ

 現場でワークスタイル変革を実践してきた日本マイクロソフト 第二インダストリー統括本部 運輸・サービス営業本部 専任部長の吉田茂史氏は、生産性の向上に大きな効果があった施策として「組織横断のコラボレーション」を挙げる。

「これまでのように営業だけが窓口となってクライアントに提案するのではなく、複数の人間が並行して関わる形を取り入れました。

 たとえばクライアントとの打ち合わせでも、営業・技術・開発・マーケティング・PRの社員みんなが関わって、それぞれの担当分野でクライアントと接するようになったのです。多い場合には、100人を巻き込んで1つの案件を取りに行った例もありました」

 実際に、過去1年のすべての受注案件のうち、社内アワードの受賞やノミネートに至った“成功案件”を見ると、他部門から関わっている社員が多い案件が名を連ねる傾向にあったという(下の図)。

営業部門のプロジェクトにおいて成果を出し、評価されたプロジェクトの自部門/他部門コラボレーション比率。表彰されたプロジェクトは相対的に他部門の社員の関わりが多い
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