2016年の原油価格を大胆予測してみる

金融危機発生で1バレル10ドルの世界に突入、サウジではクーデター?

2015.12.28(月) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45626
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 シェール企業をはじめエネルギー関連企業の発行が多いとされるジャンク債市場は、2015年12月時点で1.6兆ドルの規模に拡大し(三菱東京UFJ銀行)、保有者に占める上場投資信託(ETF)の比率が2割を超えている。ETFは、逃げ足の速い「ファストマネー」と呼ばれるように警戒すべき事象が発生すれば資金を一斉に引き上げる。ジャンク債市場はETFの資金引き上げで崩壊し、世界の金融市場も大混乱に陥る。

 世界の金融市場が不調をきたせば投資家は流動性の確保に走る。そのため、経済が急減速中の中国からもホットマネーが大量に引き上げられ、未曾有の金融危機が発生する。

 金融要因により値決めされる傾向が高い原油価格は、「第2のリーマン・ショック」の発生により1998年以来の1バレル10ドル以下にまで下落する。

 シェール企業の大量破綻によって米国での原油生産は縮小する。しかし原油の生産コストが同10ドル以下であるサウジアラビアやロシアは収入確保のために増産を続ける。同時に金融危機の発生により世界の原油需要が低迷するため、世界の原油市場の供給過剰状態は改善しない。

 次期事務局長も選定できず混迷を深めるOPECは、6月の総会で解散宣言する事態に追い込まれる。

(3)9月~サウジアラビアのクーデター発生で1バレル80ドルへ高騰

 1バレル10ドル以下の原油価格が続き、産油国は軒並み苦境に陥る。中でももっとも大きな打撃を受けるのはサウジアラビアである。

 2015年3月以降、サウジはイエメンへの軍事介入を続けており、軍事費はかさむばかりである。そのため国内の「バラマキ」ができず、若年層を中心に不満が爆発する。

 2015年12月時点で、シリアで過激派組織「イスラム国(IS)」に加わるサウジアラビア人は2500人以上いる。その予備軍の数は中東地域で最大である。ISのサウジ支部はこれまで国内のシーア派を最大の標的にしてきたが、王政打倒を掲げるようになり、石油関連施設に対するテロを開始する。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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