2016年の原油価格を大胆予測してみる

金融危機発生で1バレル10ドルの世界に突入、サウジではクーデター?

2015.12.28(月) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45626
  • 著者プロフィール&コラム概要

2016年の原油価格のトレンドは?

 原油価格は今後どんなトレンドをたどるのだろうか。「ガソリン需要増などで原油価格は来年回復する」との見方が一部であるものの、供給過剰で総崩れ状態にある原油相場の「底入れ」の条件がいまだ見えないというのが大方の予想であろう。

「原油価格についてわかっているのはただ1つ、大半の予想は外れる」(12月16日付ロイター)という耳の痛い指摘があるが、年末に当たり、そのリスクを覚悟の上で来年の原油価格の推移を大胆に予測してみたい。

(1)3月まで~イランの増産開始などで1バレル20ドル台

 12月15日、国際原子力機関(IEA)は「12年間にわたるイランの核兵器開発疑惑の解明作業を終了する」旨の決議を採択し、イランの経済制裁解除はいよいよ確実なものになった。すでに12月4日のOPEC総会で生産枠に関する規制が有名無実化しているため、イランは2016年前半から原油増産を開始する。

 イランが生産量を日量50万バレル引き上げるためには6カ月以上かかると言われている。だが、中国政府が国内のガソリン価格を低めに設定する措置を廃止したことで中国の原油需要が低迷。世界の原油市場はますます供給過剰となり、原油価格は1バレル20ドル台に下落する。

 インドネシアのOPEC代表が「原油価格が同30ドルに下落すれば、OPECは緊急総会を開くべき」との認識を示したように、緊急事態に陥ったOPECで臨時総会の開催の是非を巡り激しい議論がたたかわされる。しかし意見がまとまらず開催は見送られ、原油価格は低迷したままで推移する。

(2)6月まで~ジャンク債バブル崩壊で1バレル10ドル割れ

 原油価格が同20ドル台に下落したまま低位で推移しているため、米シェール企業へ融資を継続していた金融機関は3月のFRBの利上げを受けて、4月以降、与信枠を大幅に縮小する。その結果、既に生産を停止し「ゾンビ企業」と化していたシェール企業の大量破綻が発生する。

 これにより、シェール企業が大量に発行しているジャンク債市場は大打撃を受ける。

2
スマートエネルギー情報局TOPに戻る
PR
PR
PR
バックナンバー一覧 »

POWERED BY

  • ソーシャルメディアの公式アカウントOPEN!
    TwitterFacebookページでも最新記事の情報などを配信していきます。「フォロー」・「いいね」をよろしくお願いします!
Twitter
RSS

 

経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

>>最新記事一覧へ