パリでのテロ事件やカリフォルニアでの乱射事件がテロと断定されたため、アメリカ政府や連邦議会、それにメディアなどでも一時は(若干ながら)関心が高まった南シナ海情勢(付随して、東シナ海情勢)への興味が薄れ、軍事的関心は対IS(いわゆる「イスラム国」)戦争に集中してしまった。
せっかくオバマ政権の目を南沙諸島をはじめとする東アジアでの中国の覇権主義的政策の脅威に向けさせることができたと考えていたアメリカ海軍や海兵隊関係者たちは、このような傾向に対して再び危惧の念を強めている。
「米大統領候補が中国軍事力を恐れるべき7つの理由」
そのような人々の危機感を集約するような意見がカリフォルニア大学(アーバイン校)のナバロー教授によって "National Interest" 誌(ウェブ版)に発表された。「米大統領候補が中国軍事力を恐れるべき7つの理由」という論文である。
「あと1年を切った大統領選挙の候補者たちは、ドナルド・トランプにせよヒラリー・クリントンにせよ、中国軍事力の進捗状況に対する危機感が甘すぎる。すでに現時点において人民解放軍の海洋戦力は侮り難いレベルに達しているにもかかわらず、大統領候補者たちには、そのような戦力分析に立脚した議論が欠けている。次期アメリカ大統領たるべき者は、そしてアメリカ国民も、中国軍事力に対してもっと危機感を持たなければならない」