1.日中関係改善を背景に中国で高まる日本企業との提携意欲
今年は年初から終戦70年総理談話(8月15日)と抗日戦争勝利70周年記念軍事パレード(9月3日)が日中関係改善にとっての最大の難関であると言われていた。
その2つを何とか無難に越えることができた時点で、10月からは日中関係改善が加速するとの期待が高まっていた。8月から9月にかけて両国とも積極的な行動を控えていたことからその反動もあって、日中関係の改善が加速している。
主な動向を振り返ると、10月14日、楊潔篪国務委員が訪日して安倍晋三首相と会談し、翌15日には公明党の山口那津男代表が北京で習近平主席と会談した。
11月1日、日中韓3国首脳会談および日中首脳会談が実現(中国側代表は李克強総理)。11月5日には、経団連・日本商工会議所・日中経済協会の3団体共同訪中団(総勢220人)が北京で李克強総理と面談した。
いずれも中国国内で大きく報道され、中国側が日本との関係改善を重視している姿勢が明確に伝えられた。
こうした中国側の対日外交姿勢の変化の背景には中国経済の減速に対する不安が地方政府や不況業種などを中心に強まっていることから、日本との経済関係の回復によって日本企業を誘致したいとの強い期待があるとみられている。
上述の日中交流に加えて、10月下旬に中日企業聯誼会(中国企業経営者22人同行)、11月中旬に曽培炎元副総理を団長とする訪日団(中国トップ企業50社の経営者同行)がそれぞれ日本を訪問するなど、両国経済界の交流も加速している。
環境、エネルギー、医療、食品安全といった、今後中国国内で大きな成長が期待される分野において、中国企業から中国現地の日本企業に対して提携を期待する声も数多く寄せられている。