習近平国家主席による英国訪問は、国際政治や国際金融の潮流を変えた可能性がある。
これまで人民元の国際化は米国主導で進められるというシナリオが濃厚だったが、9月に行われた米中首脳会談では南シナ海問題で合意が得られず、米中間には隙間風が吹き始めている。その間に一気に中国との距離を縮めたのが英国である。
英国は国をあげて習近平国家主席をもてなし、ロンドン市場を軸に人民元の国際化を進める道筋を付けた。米国は中国と距離を置かざるを得ず、その間に、人民元の国際化は英国主導で進められる可能性が高くなってきた。
圧倒的なドル覇権が揺らぐ可能性は低いが、国際金融システムの多様化は思いのほか進展するかもしれない。
米中首脳会談で吹いた隙間風
10月27日、米海軍の駆逐艦が、中国が埋め立てを行う南シナ海の南沙諸島付近を航行し、中国軍がこれを追尾するという出来事があった。南沙諸島付近を航行したのは、米第7艦隊所属(横須賀基地)の駆逐艦ラッセンで、同艦は、中国が「領海」と主張する南シナ海の人工島12カイリ(約22キロ)内の海域を航行した。米軍はしばらくの間、同様の哨戒活動を継続する方針を明らかにしている。