中国によって巨大な灯台が建設された南沙諸島のクワテロン礁

 アメリカ太平洋軍司令官ハリス海軍大将は、「アメリカ軍艦ならびに軍用機は、南沙諸島に建設されている中国の人工島周辺12カイリ(約22キロメートル)以内でのFON(Freedom Of Navigation)パトロールをただちに実施するべきである」と重ねて明言した。これは、本コラム(「ホワイトハウスが米海軍に圧力『中国を刺激するな』」)で紹介した連邦議会公聴会における発言の延長線上にあるものである。

「世界中の海洋で自由航行原則が脅かされる可能性がある場合、そのような事態の是正を求める」というのがアメリカの伝統的国策であり、それを推進するプログラムの中で軍隊が担当するのがFONパトロールである。

 これは、自由航行原則に脅威を与える事態が生起した場合、その海域に軍艦や航空機を派遣して警告を発する“戦争以外の軍事作戦”だと言ってよい。

FON作戦が抱えるジレンマ

 このようにハリス提督は内外いくつかのメディアのインタビューに答える形で「12カイリ内FONパトロール実施の必要性」を強調している。それと歩調を合わせて“アメリカ海軍筋”からは、「アメリカ海軍は2週間以内に中国人工島12カイリ内でのFON作戦を実施する」という情報も流出している。