国際的批判を受ける日本の石炭火力

石炭火力に強まる逆風、しわ寄せを受けるバイオマス発電

2015.11.02(月) 宇佐美 典也
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45114
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海外も視野に入れた資源確保の必要性

 仮にこの規制が導入された場合、老朽化した設備では20~35%のバイオマス混焼が、1990年代後半以降に作られたものでも8.6%弱の混焼が求められることになり、凄まじいバイオマス燃料需要が生まれることになる。

 他方で、一般的にバイオマス資源の購買力は、バイオマス専焼設備を運用する再エネ業者よりも、資本が豊富な石炭発電を運営する既存電力業者の方が高い。したがって、バイオマス発電事業者の燃料資源確保に大きな影響を与えることになるだろう。

 特に現在主要なバイオマス資源となっている国内間伐材および輸入パーム椰子がら(PKS)の争奪戦は激しくなることが見込まれる。必然的に燃料価格は上昇し、バイオマス発電事業者の経営は圧迫されることになるだろう。

 そのため、バイオマス発電事業者は自前のバイオマス資源確保に向けた手を打つことを迫られる。今後はいわゆる「資源作物」と呼ばれる、もっぱら発電事業の目的で育てる作物のプランテーションに取り組まざるを得なくなるだろう。

 その場合、日本国内で育てるよりも、広大な土地と温暖な気候を有する東南アジアやオーストラリアといった地域の方が適している。バイオマス発電事業者は資源確保戦略を国際的な視野を入れて検討する必要性に迫られ始めている。

あおりを食うバイオマス発電専焼業界

 ここまで見て来たように、日本の石炭火力発電を巡るスタンスには国際的な批判が集まっており、日本としては国内外の石炭火力の新増設の動きを黙って見ているわけにはいかない状況にある。

 そのため現在、経済産業省が石炭火力発電に対する省エネ規制を強化すべく検討を進めているが、このような規制の導入はバイオマス混焼の動きを促進することが予想される。

 結果として、あおりを食うのがバイオマス発電専焼業界で、資源確保戦略が明確でないバイオマス発電事業者は淘汰されることになるだろう。バイオマス発電事業者は今から真剣にポスト間伐材・PKS時代の資源戦略を構築することが不可欠となっている。

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1981年、東京都生まれ。暁星高校、東京大学経済学部を経て、経済産業省に入省。企業立地促進政策、農商工連携政策、技術関連法制の見直しを担当したのち、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)にて電機・IT分野の国家プロジェクトの立案およびマネジメントを担当。2012年9月に経済産業省を退職。現在、再生可能エネルギー分野や地域活性化分野のコンサルティングを展開している。著書に『30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと』(ダイヤモンド社)、『肩書き捨てたら地獄だった - 挫折した元官僚が教える「頼れない」時代の働き方』(中公新書ラクレ) など。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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