国際的批判を受ける日本の石炭火力

石炭火力に強まる逆風、しわ寄せを受けるバイオマス発電

2015.11.02(月) 宇佐美 典也
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45114
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 まず1点目としては「規制の対象」に関する議論で、これまで「大手電気事業者が保有する大型の石炭火力発電」に限られていた規制対象を、ほぼ全ての石炭火力発電(設備単体で出力1000kW以上、合計で1万kW以上)に拡大する見込みである。

エネルギーミックスの実現に向けた火力発電の高効率化のための取組について。資源エネルギー庁発表「事務局説明資料」より
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 2点目としては「発電効率に関する新規制水準の導入」である。前述の通り、これまで石炭火力については運用努力に係る指標しか設けられていなかったが、今後は運用に限らず、設備の発電効率自体にも規制を導入することが検討されている。

 この規制値の水準は、長期エネルギー需給見通しとの整合性から、超々臨界圧方式の石炭火力発電相当(再エネ導入増に伴う設備利用率減少による効率低下を想定した上の発電端効率[HHV]で41%)で設定されると考えられ、かなり厳しい水準となる見込みである。

震撼する新電力とバイオマス混焼という抜け道

 こうした新規制導入に戦々恐々としているのが、今まさに我が世の春を謳歌せんとしていた新電力である。

 新電力は規制の合間を縫う形でビジネスチャンスを見出したわけだが、その規制の穴が埋められることになる。

 特に発電効率に関する規制導入の衝撃は大きく、このままでは既存の石炭火力の稼働率を落とすか、資本を投入して改修するかしかない。その場合、採算が大きく悪化してしまう。

 そこで、経済産業省側が、こうした新電力側の声に配慮して折衷案として導入しようとしているのが「バイオマス混焼」という抜け道である。

 物理的には、石炭に一部バイオマス資源を混ぜて燃やしても発電所から出るCO2排出量は変わらないわけだが、バイオマス資源は自身が育つ過程で光合成によりエネルギー相当のCO2を吸収しているので「カーボンオフセット」という考え方に基づき、バイオマス資源分はエネルギー投入にカウントしないというものだ。

売電事業におけるバイオマス混焼の扱いについて。資源エネルギー庁発表「事務局説明資料」より
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1981年、東京都生まれ。暁星高校、東京大学経済学部を経て、経済産業省に入省。企業立地促進政策、農商工連携政策、技術関連法制の見直しを担当したのち、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)にて電機・IT分野の国家プロジェクトの立案およびマネジメントを担当。2012年9月に経済産業省を退職。現在、再生可能エネルギー分野や地域活性化分野のコンサルティングを展開している。著書に『30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと』(ダイヤモンド社)、『肩書き捨てたら地獄だった - 挫折した元官僚が教える「頼れない」時代の働き方』(中公新書ラクレ) など。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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