国際的批判を受ける日本の石炭火力

石炭火力に強まる逆風、しわ寄せを受けるバイオマス発電

2015.11.02(月) 宇佐美 典也
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45114
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 ウルトラCとして「CO2地下貯留技術と石炭火力発電を組み合わせる」という手段もあるが、実現は当面先になる予定である。

 東日本大震災以降、多くの原発が停止し火力発電がフル稼働したことによりCO2排出量が大きく増加した日本は、地球温暖化対策という観点では苦しい立場に追い込まれている。COP21ではこうした批判に正面から答えなければ先進国、新興国双方から激しい突き上げをくらうことになる。

 しかし経済政策的な観点で見ると、東日本大震災以降、20%以上も電気料金が上昇してきた中で、発電コストを抑えるために経済効率の良い石炭火力の新設・稼働はある程度やむを得ないという側面もある。日本は環境と経済を巡る典型的なジレンマに苦しんでいる状況にある。

震災後の日本が抱えるジレンマ

 このような中で、現在、経済産業省で石炭火力発電に対する新たな規制を定める議論が進んでいる。

 これまで石炭火力発電に関しては、経済産業省所管の「エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法)」において大手電気事業者の持つ大型の石炭火力発電(年間600万kWh以上の発電)のみを対象に、比較的緩い運用に関するベンチマーク指標(定格出力比で100.3%の熱効率の維持)が設定され、規制・指導が行われてきた。

発電事業の状況(平成25年度実績)。資源エネルギー庁発表「省エネ法における発電事業への対応について」より
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 東日本大震災以前は、こうした規制の設定の仕方でもエネルギー消費量ベースで全体の8割以上の石炭火力発電所をカバーしていたこと、原発の新設によりCO2排出量が抑えられる見込みであったことから大きな問題は生じなかった。

 しかし、前述の通り原発が停止したことにより、既存の石炭火力発電所がフル稼働するようになったこと、一方で発電コストが安く規制が緩い小規模石炭火力発電の新増設計画が相次いだことで、日本には環境政策的な観点から国際的な批判が集まってきている。

石炭火力への新規制の概要

 こうした背景から、環境省は経済産業省に対して「石炭火力のCO2排出量を抑える規制を導入すべき」と再三要望してきた。これを受け、経済産業省は省エネ法の火力発電に対する規制の内容を厳格化する方向で検討を進めている。

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1981年、東京都生まれ。暁星高校、東京大学経済学部を経て、経済産業省に入省。企業立地促進政策、農商工連携政策、技術関連法制の見直しを担当したのち、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)にて電機・IT分野の国家プロジェクトの立案およびマネジメントを担当。2012年9月に経済産業省を退職。現在、再生可能エネルギー分野や地域活性化分野のコンサルティングを展開している。著書に『30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと』(ダイヤモンド社)、『肩書き捨てたら地獄だった - 挫折した元官僚が教える「頼れない」時代の働き方』(中公新書ラクレ) など。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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