学校でのコンピューター使用、成績向上に効果なし OECD調査

中米エルサルバドルの首都サンサルバドルでコンピューターの画面を見つめる生徒たち〔AFPBB News

 前回はアニメーション映画『おもひでぽろぽろ』から触発されて、「分数の割り算」から、小学校で教える内容は決して平易でなく、むしろ概念的に難しいもの、先端で用いられる高度な考え方の基礎が多々含まれていることなどに触れました。

 小学校というのは、そもそも「数」の概念を教える段階が一番重要で、基本的な算術を全国民に義務教育として教えるところにポイントがあります。

 だから「算数」という。算術で数を扱うということですね。英語ではアリスメティックス(arithmetic)と呼ぶのは、ギリシャ語の「数=アリスモス(arithmos) 」から来ているようです。

 これに対して中学以降で学ぶものは、やはり「数の学」である「数学」ですがマセマティクス(mathematics)と呼ばれます。

 古代ギリシャ語のマテマティコスは元来は「教え」「聞き覚えたもの」あるいは「習い覚えたもの」といった内容を指すのだそうで、師匠についてレッスンで習得するものという意味であったのが、時代が下るにつれて現在で言う「数学」の意味に特化してきたらしい。

 なるほど、1、2、3・・・といった単なる数の計算よりは、幾何の証明など込み入った内容は難しいですから、師匠(初期には「ソフィスト」などと呼ばれる自然哲学者たちが師であったと伝えられますが)に付かなければ習得できなかったのでしょう。面白いものです。

 さて、古代ギリシャ人はもっぱら1、2、3・・・といった数とその比を扱っていましたから、加減乗除の4つの演算、また様々な分数(比の値)と一部の無理数(√2=ルート2のようなもの)は考察の対象になっていましたが、小学生でも習う小数は主として東洋で発達し、ヨーロッパに導入されるのはおおまかに17世紀以降、非常に遅くなってから西洋文明にもたらされたらしい。

 実はヨーロッパ文明というのは、全人類史の中では相当遅れて発達したものであることは、何かと拝欧的になりやすい今日のグローバル社会において、強く認識しておいてよいように思うのです。

 さて、この「小数」同様、欧州で相当遅れて使われるようになり、21世紀の日本でも中学生を悩ませることが多いと思われるのが「マイナスの数」つまり負の数の演算でしょう。